特集#01 ニッシンが誇る至宝!SクラスのB級スポット五色園の知られざる魅力

※2017年3月時点の情報のため、掲載情報について今後変更となる可能性があります。

日進市岩藤町にある五色園は日本で唯一の宗教公園。20万坪の広大な森の中には、身長2mほどのコンクリート像100 体が点在し、親鸞聖人の生涯や教えにまつわるさまざまなエピソードを再現しています。

この膨大な数のコンクリート像のすべてを製作したのが浅野祥雲。マスコミでもたびたび取り上げられ、いま全国の若者から注目を集めているコンクリート造形師です。今回はこの祥雲さんの作品にスポットをあてながら、五色園のディープな楽しみ方をご紹介しましょう。

コンクリート像と桜

「五色園」とは松・竹・梅・桜・紅葉の5種類の樹木にちなんでつけられたもので、四季折々の自然が楽しめる。特に桜の季節はすばらしく、多くの観光客が訪れる。

さながら立体絵巻。
園内に100 体の極彩色コンクリート像が林立。

コンクリート像

五色園の開園は昭和9年(1934)。森夢幻(後の大安寺初代管主)が「視聴覚伝導」をめざして大安寺の敷地内に創設したもので、園内のあちこちに親鸞聖人(浄土真宗の開祖)の名場面を再現したジオラマがあり、親鸞の教えを分かりやすく伝えています。

今でこそ閑散とした雰囲気が漂う同園ですが、昭和16年当時のパンフレットによれば、敷地は今よりも大きく、本堂や寺務所、宿望といった宗教施設の他、温泉や動物園、弓道場なども備えた一大テーマパークでした。そして、その目玉となる大スケールジオラマの製作を一手に引き受けたのが浅野祥雲でした。昭和5年(1930)頃から製作に取りかかり、当初は名古屋市熱田区の自宅で作った作品を牛車に積み、およそ20km離れた現地まで運んでいたそうです。10年がかりで2m級の巨大な像を大量に制作し、一体ずつ牛車で運ぶ。祥雲さんの造形にかける並々ならぬ情熱とパワーが伝わってきます。

祥雲作品の魅力がギュッとつまったワンダーランド。

コンクリート魂 浅野祥雲大全」の著者で、浅野祥雲研究家としても名を馳せる大竹敏之氏によれば、「浅野祥雲作品を象徴する4つの要素は、「デカい」「たくさん」「カラフル」「ダイナミック」。五色園はそんな祥雲の作風が確立した金字塔的施設で、園内に立ち並ぶ作品はその4つの要素がもれなく注ぎ込まれている」と言います。

なるほど、100体にもおよぶ鉄筋のコンクリート像はどれも高さ2mを超し、ペンキでカラフルに彩色されています。今にも走り出そうな僧侶、カマをふりあげる般若など、どれも迫力満点で、躍動感にあふれています。見る者を圧倒する存在感。それでいて、どこかユーモラスで愛嬌を感じさせるのも、祥雲作品の魅力なのでしょう。園内を歩きながら、そんな作品一つひとつと向き合っているうちに、いつしか祥雲さんへの敬愛の情がわいてくるから不思議です。

園内見学の様子①
園内見学の様子②

日本唯一の浅野祥雲研究家であり、語り部の大竹敏之氏の案内で園内を巡る見学者

シーンからシーンへの移動は車でもOK。
自分流の楽しみ方で、園内を巡ろう。

園内には真宗の教えにまつわる17場面をはじめ、全24場面のジオラマが点在。園内は広大で、徒歩で周遊するには1時間はかかります。舗装された道路が通っているので、場面から場面への移動は車でもOK。サファリーパーク感覚でジオラマを鑑賞できます。ただし、山道を数分上らなければ見られない場面や、雑木の間に隠れて見えない場面もあり、完全踏破は至難の業。宝探しラリーの感覚で塑像を探し歩くのもまた一興です。人形と同じポーズで写真を撮ったり、示唆に富んだジオラマに紛れ込んで登場人物のひとりになったり、見て、さわって、有り難い教えを学べるのが五色園の魅力。いつ訪れても新しい出会いと発見がある、奥深い五色園なのです。

作品を守り、魅力を伝えよう
~浅野祥雲作品再生プロジェクト~

祥雲の作品を100年先に残したい・・・。大竹敏之氏を中心に、そんな思いをもつ人たちで組織されるボランティアグループが、寺院の協力・了承を得た上で、ペンキでの塗り直しを中心とした修復・保全活動を続けています。2009年(平成21)に「五色園第1次修復活動」を実施して以来、回を重ねること10回。毎回100名を超す人々が参加して、塗装がはげ落ち、痛みが進んだ祥雲作品をよみがえらせています。修復作業は今後も半年に1度ほどのペースで行っていく予定とのこと。一般の方の参加や見学も可ということなので、興味のある方は「浅野祥雲 作品 再生プロジェクト~五色園 野外彫刻の修復・保全活動」のサイトを訪ねてみてください。

浅野祥雲(あさのしょううん)プロフィール

1891-1978年 本名:高次郎。岐阜県坂本村(現中津川市)生まれ。土人形職人だった父親の影響で、土人形制作を始める。しかし、土では大きな作品が作れないため、コンクリートでの制作に着手。独学でコンクリートによる等身大の塑像という制作スタイルを打ちたて、東海地方を中心に800 体もの作品を残したと言われる。特に、この五色園と桃太郎神社(愛知県犬山市)、関ヶ原ウォーラン(岐阜県関ヶ原町)は祥雲ファンから三大聖地と呼ばれている。

<五色園>
正式名:
宗教法人五色山大安寺
所在地:
愛知県日進市岩藤町一ノ廻間932-31
営業時間:
8:00 ~ 17:00
電話:
0561-72-0006